< No.6 リンゴ >

彼の掌に埋め込んだ
鮮やかな黒の種子を基に
それらは徐々に育っては
慎ましやかに花を開いた

艶やかにも香る
麗しの果実
赤の表皮に触れては
爛れ行く人の手

彼の爪を模した
銀のナイフ
彼の指を模した
金のフォーク

速やかに食してしまわなければ
果敢なくも早々と消え行く定め

僅かばかりの果汁の涙

フレアの下に隠した秘宝

全て彼女への貢物

何卒お手を 触れませぬよう