< No.53 かみなり >
走る
ビルの上と
電線を超えて
あの空から
あの空へ
ガラスを光らせ
ネコの目を舐めて
カップの中へ
落ちていくように
歩く
森の木々を
梢の声を伏せて
静かにそっと
轟く
慎ましやかな音色
誰を脅かそうなんて
本当は思ってもいない
驚くのは人間だけ
驚くのは生き物だけ