<No.84 分岐点>
梯子があった。
階段があった。
三つの穴と、四つの道と、一つの地図があった。
線が十三本。点が一つ。
バネとスチールの板と鉄の螺旋階段も見える。
渦を巻いたスプリングを軽く押したら、そのままどこかへ飛ばされそうになった。
さて。
荷物を置いて、スチールの板を木の上から引き摺り下ろす。
手を叩きながら固形燃料を落し、指を鳴らして火をつける。
明るい炎だ。
歌を歌いたくなったので唇を引き結ぶ。
大きく目を開いたままカップを取り出して、水筒の水を注いだ。
バネを切ろうと四苦八苦。
仕方がないから台車を壊して石を並べた。
はぜる炎。
明るい。
空が遠い。
上へ行こうか。
土が温かい。
下へ行こうか。
右の道は緑だ。
斜めに入る左の青い道。
私はどこへでも行ける。
0次元の存在。
世界は須く立体であり、
点は無限に存在している。
私はどこへでも行ける。
私だけの分れ道。