君の目が閉じ行くその一瞬まで僕は走る。
水面に落ちる花が沈むよりも早く、君の元へ。
空を駆ける必要があるのなら、その為の靴を。
地を駆ける必要があるのなら、その為の靴を。
重い枷のように纏いつく、数多の言葉と声を越えて。
不可能を叫ぶ人々の言葉。
否定を込め呪う声に耳を貸してはならない。
彼女達は人の形をしていて、
それはつまり魔女達と同じ言葉なのだから。
否定を受けたなら反転させ、
空回りの声に進展を見出し、
前進する歩調を緩めることなく、
ただひたすらに前を目指せ。
それが僕らの持ち得る魔術。
僕らの手にある言葉の魔術。
目標値は君の座標。
逸らすことなく見据え、瞬きも許さずに。
辿りつくその一瞬まで、僕は走る。
君の瞼が視界を閉ざし、
この世が夢に沈むまで。
君の目が全てを閉ざし、
この世が夢に沈むまで。